ガイマンセレクション

おしぐちたかし

評論家・編集者

ミロの世界(2)

日本在住のフランスのアニメクリエイターが手がけた王道の冒険ファンタジーの2冊目。細やかなカラーリングで描かれる日常の積み重ねが、奥行きのある世界観を語る。
けっしてヒロイックではない、主人公のまっすぐな行動が頼もしい。

おとうさんとぼく

ナチス政権下、人気を博したドイツのほのぼの漫画。ユーモアあふれる父と息子のやりとりは今読んでもほほえましい。しかし作者は反骨の士だった。
ゲシュタポに捕えられ、独房で自らの命を絶った生きざまを、
改めて 多くの人に知ってほしい。

ヘルボーイ・イン・ヘル:死出三途

ファン待望の、ミニューラ自身によるヘルボーイ漫画。死んでしまったヘルボーイがたどる冥府道中を鮮やかに描く、陰影を多用したミニューラのタッチは、もう神の域。すばらしい!
ヘルボーイと魔物たちが交わす洒落の効いた台詞も読みどころのひとつ。

B・黒須(豆魚雷)

スーパーサンズ

どこか青臭くて、どこか愛らしい=胸キュン。ロビンとスーパーボーイの"凸凹コンビ"が魅せる活躍?と、父親としての顔を覗かすバットマンとスーパーマンの姿に、気付けばにんまりが止まらない!

シルバーサーファー:パラブル

巨匠×巨匠が生み出した名作。メビウスとスタン・リーという奇跡のタッグが、改めて複雑な現代に"人"としてどうあるべきかを問う、ヒーローコミックを超えたシルバーサーファーから見る人間の物語。

絶対無敵スクイレルガール:けものがフレンド

表紙とアートのギャップなんてなんのその!敵がたとえ宇宙が恐怖するギャラクタスだろうとピースフルにチャチャっと撃退!?気合?根性?壮絶バトル??ヒーロー作品の根底を覆すゆるラフヒーローが新鮮すぎる!

原正人

バンド・デシネ翻訳

マッドジャーマンズ ドイツ移民物語

1980年代に2万人ものモザンビーク人が先進国に学ぶ目的で東ドイツに渡り、その実、単純労働をさせられた。帰国後もマッドジャーマンズ(ドイツ製)と蔑まれ、居場所を失った彼らのドイツと祖国での日々を描いた傑作。

キュロテ 世界の偉大な15人の女性たち

フランス人女性BD作家ペネロープ・バジューの邦訳はこれで3冊目だが、個人的には初めて心から感動した1冊。超有名人からそうでもない人まで15名の女性の波乱万丈の人生をわずか数ページにギュッと凝縮。

MARCH 1 非暴力の闘い / MARCH 2 ワシントン大行進 / MARCH 3 セルマ 勝利をわれらに

「黒人公民権運動」という抽象的な言葉では必ずしも伝わらない時代の緊張感と黒人たちの果てしない闘争の日々を垣間見せてくれる衝撃作。同時代を描いた映画『私はあなたのニグロではない』もぜひ併せて観てほしい。

漫棚通信

マンガ系ブロガー

スーパーマン:アメリカン・エイリアン

くせのある脚本家による若きスーパーマンの物語。彼がいかにしてヒーローとなったか、その本質に迫ります。ひねくれた公式二次創作みたいな作品だけど、アメコミ愛にあふれてて美しい作品となりました。

マッドジャーマンズ ドイツ移民物語

こちらはドイツ作品。1980年代アフリカ、モザンビークから移民として東ドイツにやってきた三人の若者。彼らそれぞれの人生が現代史とともに語られます。ジャーナリスティックな視点と芸術性が両立した作品です。

おとうさんとぼく

日本で33年ぶりに復刊された本作もドイツから。父と小さな息子のほのぼのマンガ。ただし著者はナチスに弾圧され、変名で本作を発表した後、獄中で最期を迎えました。作品の暖かさと重い歴史の落差が心に響きます。

吉川 悠

コミック翻訳者/ライター

モンストレス vol.1 / モンストレス vol.2: THE BLOOD

90年代の日本のファンタジー漫画を彷彿させる雰囲気をアメリカンコミックスで再発見する意外さと、高度に構築された世界設定を裏付けするディテール。記号だけの美少女ではない泥臭いまでに人間らしい主人公も魅力。

スーパーマン:アメリカン・エイリアン

スーパーマンを等身大の若者として描き、ヒーローとなるまでの人生における重要な転機を描くオムニバス。瑞々しい感性と新鮮な視点を持ち込み、神話的アイコンを現代的に再創造した新時代の傑作。

300〈スリーハンドレッド〉[新訳版]

エンターテイメントとアート、歴史的事実と個人的なファンタジー、それぞれの間でバランスを保ち、判型もあいまって漫画よりは「大人の絵本」という越境した位置にある、いま再評価されるべき作品。

中垣恒太郎

アメリカ文化研究

母のがん

母親の癌が発覚してから後の家族を描いた「グラフィック・メディスン」と呼ばれる英語圏の医療マンガの代表作。闘病エッセイマンガ(家族を含む)は日本でも様々に発展を遂げていますが味わいの違いも読みどころに。

ファン・ホーム ある家族の悲喜劇〈新装版〉

家族の記憶、父と娘、成長物語、セクシュアル・マイノリティ、表現技法など多様に読むことができる「グラフィック・メモワール(回想録)」の傑作。待望の新装版であり、永続的に入手可能な状態であり続けてほしい。

スピン

1996年生まれの若い世代によるYAグラフィック・メモワール。5歳から17歳まで続けていたスケートを軸に、家族や友人、同性への恋愛感情など十代女子の心情が繊細に描かれている。米国の女性コミックス表現の新境地。若い世代のメモワールはめずらしい。

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